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社内ベンチャー、社内起業、社内提案制度・・・これらが陥りがちな問題点

コラム

最近、多くの企業が社内ベンチャー制度や社内起業制度といった制度を取り入れており、
大変ありがたいことに、弊社にご相談いただくことも多く、たくさんの企業のお手伝いをさせて頂いています。
そんな中で弊社が感じている違和感や問題点について書いてみました。
後半強めの口調となり恐縮ですが、我々が日頃感じていることですので最後まで読んで頂けると大変幸いです。
(社外リソース活用制度である、アクセラレーションプログラムに関してはまた別記事で。)

問題点その1:社員を起業家にしようとする制度であること

大企業の社員は、これまで大企業の社員であって、起業家ではありません。
なのでボーンレックスでは、大企業で新規事業を興そうとする人を、”社内起業家”とは呼ばず、”挑戦者”と呼び、明確に区別しています。

なぜかというと、起業家と挑戦者は、人格的にも、熱量的にも、思考パターン的にも、まったく違う生き物だと考えているからです。

起業家とは?

そもそも起業家とは、内なる感情や情熱を起爆のきっかけとし、爆発的なエネルギーを解き放ちます。
その爆発的なエネルギーに巻き込まれた人達が(自分から巻き込まれる人、うっかり巻き込まれる人等様々ですが)、共同創業メンバーとなったり、ベンチャー企業におけるCXOになったりするのです。
ある程度成長したベンチャーに大企業から転職していく人達も、この類の人が多いと感じます。
給料云々というより、ともに歩みたい仲間たちがいるケースが多いです。

このようなエネルギーは、周囲の目を気にしていたらなかなか生まれません。
なので、起業家には良くも悪くも周囲の目を気にしていない人が多い印象です。
最近では、高学歴でいわゆるエリート出身のような起業家も増えてきているので、社会からの目線を必要以上に気にしている起業家も多いかもしれませんが、そういう起業家の会社からは上記の爆発的なエネルギーはあまり強くないため、会社のパワーが足りずに拡大していかないケースが多いと感じます。(もちろん一概には言えませんが。)
自分が「やりたい。そうあるべきだ。」と思っていることに突き進んでいる起業家は、周りが何を言ってもどんな困難があろうともやるものはやるし、やらないものはやりません。
突き進む中で自然と出来上がったストーリーは、自社の文化と直結していきます。そのように文化が作られた会社は、会社のどの面をとっても一貫性が増すため、疲弊している人が少ない印象です。

労働時間だけで見ると普通のサラリーマン以上に働いている起業家は多いと思いますが、疲労や疲弊は必ずしも労働時間に関係ないのです。不思議な現象だ、といつも思います。ワークライフバランスという文字が辞書にないのかしら、と思われるくらい働くけども、実は、人が驚くほど、楽しむことも知っている人は多いです。
(逆に極端に束縛されることを嫌がる人が多いかも。楽しむことに集中したいから。)

挑戦者とは?

一方で企業内で新規事業を興そうとする”挑戦者”は、起業家とは違います。
内なる感情や情熱から爆発的エネルギーを発して、事が追い付くのも大変なくらいなスピードで進んでいく・・・、そんなケースは今まで見たことがありません。
仮に、そういうタイプのメンバーがいたとしても、そのエネルギーは”社内の壁”を乗り越えることに全て使ってしまい、事業自体にエネルギーを注げている人は、ほぼ皆無と言っても過言ではありません。その結果、事業がなかなか進まないという状況に陥ります。

このように、起業家と挑戦者は本人の性質も違えば、乗り越えるべき壁も異なっています。
そのため、弊社でも起業家への支援と挑戦者への支援は別物としています。

問題点その2:普通の社員を突然“新規事業のプロ”にし、挑戦者(=社内起業家)を応援する制度であること

一般的に社内起業制度や社内ベンチャー制度には、挑戦者(=社内起業家)を応援したり意見を言ったりしてくれる人がいます。
ご意見番ですね。ご意見番と決裁者が違ったり、ご意見番兼決裁者だったり、ご意見番兼(社内起業制度の)事務局で決裁者は別だったり・・・
とそのあたりは様々ですが、大抵の会社で導入されています。

ただ彼らも、今まで”普通の仕事(既存事業)”をしていた社員です。
経営企画部内の社内起業部隊に異動させ、突然”新規事業のプロ”として、挑戦者(=社内起業家)をサポートしなければなりません。

挑戦者(=社内起業家)を応援するはずが、事業止めてしまっていることも・・・

社内ベンチャーや社内起業という制度は、堤防で勢いを減退させる大波のような状態なのかもしれません。
挑戦者が「やろう!」と思ったときに、社内のご意見番達からそれを制するようなメッセージが力強く発信されるのです。

いやいやうちは違います、という企業もあるかもしれませんが、見ている限りだとそういう企業が本当に多いと感じます。
我々そんな企業を見ていると、「いったい何をしたいのか。本当に事業を立ち上げたいと思っているのか。止めてどうする!!」というような、怒りに近い思いを抱くこともあります・・・!!

社内ベンチャー専用の子会社を立ち上げた企業を例に見てみます。
その子会社を応援してくれるご意見番的存在の方々には、コンサル会社が複数社つき、いわゆる”デザインシンキング”をベースとして、挑戦者(=社内起業家)が立ち上げた子会社を応援するプロセスを実施しています。

しかし、その内情は、実際の動きに沿った臨機応変なサポートが展開できていない状況です。なぜなら、デザインシンキングをベースとしていれば正しいのだと妄信し、硬直化を招くツールと化してしまっているからです。
(注:決して”デザインシンキング”が間違っている、と主張しているのではありません。ひとつのツール頼みになってしまい、現場や実情に必ずしも合っていないサポートになってしまう環境が良くないと言いたいのです。)

社員は起業家ではありません。
起業したことがあるわけでもありません。
ここで言う、起業家と挑戦者の差も、恐らくよく理解していないと思います。
けれど、起業家とはこういうものである!事業とはこういう進め方をするのである!という妄信を進み、社内の挑戦者たちに、起業家らしく、その通り進んでもらおうと必死になっているのです。

進め方を間違ってしまうと・・・

この進め方だと、挑戦者たちは、ご意見番に振り回されながら事業を行うことになり、ついには、プロジェクト自体が失速して何も進まなくなってしまいます。
そうすると、社内では「やっぱりあの人もダメだったね。なんかセンスがなかったらしいよ」というような会話がまことしやかにささやかれ、それまで強力に応援してくれていた人達も、社内の噂で簡単に反旗を翻すことになります。

社長への報告も、「彼は頑張っていましたが、やはり、まともにビジネスを立ち上げられるような人ではなかったようで、中間報告の通り、本事業にはこれ以上の予算は付けない方針で行こうと思います」とされてしまいます。社長も、実際に本人と話したわけではないけれど、気づくと、中間管理職のセンスのない報告を妄信し、本当はステキなプロジェクトを潰してしまうのです。

何のための社内起業制度ですか?

我々は、こんなことでいいのか?と思っています。
何のために社内起業制度や、社内ベンチャー、アクセラレーションプログラムを実装しようとしているのでしょう。

挑戦しようとした人を潰すことがあなたの仕事なのであれば、あなたは毒を巻く養殖所の所長さんと一緒です。
養殖したいのか、殺したいのか、はっきりしてください、と思ってしまうわけです。

社内の新規事業はコントロールできるものではない

社内起業制度をやるのであれば、コントロールしようと思ってはダメだと思うのです。
あなたにコントロールできるものではない。むしろ、あなたにコントロールできるような世界で新規事業が立ち上がるのであれば、こんなに色々な企業で新規事業に苦しんだりしないでしょう。
そういう中間管理職の皆様は、いい加減、自分にはこんな実績もあるから、自分はこの大役はふさわしい、と考えるのはやめましょうよ。
この手の方々は、すぐにポジショントークが始まる傾向が強い印象です。

そんなに偉いなら、自分でやってみたら良いと思います。
もっと、挑戦者への敬意をもって接するべきだと思うわけです。

守ってほしいこと

社内ベンチャープログラム・社内起業家制度を立ち上げる企業の皆様。
是非、これらを守ってみてください。そうすれば、きっと、想定しない成功が企業にもたらされることでしょう。

  1. 挑戦者を拘束しない。
  2. 挑戦者の肯定感を下げない。
  3. 挑戦者にコミットさせるのではなく、挑戦者が自らコミットしたことにコミットさせる。
  4. 挑戦者がいかにしくじりそうでも、罵倒しない。
  5. 挑戦者よりも当該プロジェクトを考えていないのであれば、挑戦者があくまで社長であり、挑戦者が考えるベストに最後はbetする器の大きさが重要。
  6. どんなにあなたがエリートでも、そのプロジェクトにおけるエリートは、挑戦者本人。挑戦者の直観を信じ、そのプロジェクトが放たれたら最後、絶対に成功させるように挑戦者の必要とする武器を全て用意してあげましょう。
  7. そして、もし、うまくいかなかったら、あなたの責任でうまくいかなかった、あなたが最後まで支援しきれなかった、その責任を取りましょう。

この腹つもりがない中間管理職の皆様は、新規事業の担当管理職になるべきではない、というより、なったらあなたにも挑戦者にも酷です。
逆に、あなたがそれに該当すると今気づいたのであれば、是非、上記7か条をだまされたと思って踏襲してみてください。

きっと、あなたと、挑戦者に、ステキな結果が返ってくると思いますよ。

 

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