2024/02/05

DX戦記!ゼロから挑んだデジタル化による経営改革

こんにちは!広報の古橋です。
ボーンレックスは日本に存在している社会課題に様々な角度から光を当ててその解決に取り組んでいます。きょうはそんな中でも、当社が大分県より受託している「湧く沸くDXおおいた」についてシェアさせてください!
「湧く沸くDXおおいた」は、人口減少が深刻視される中でも大分県内の事業者が持続的に成長し続けることを目的に、DXのモデルケースを創出する伴走型プロジェクトです。先日、「DXで描く新時代へのナビゲート!大分発DX変革の共創会議」と題して、当プロジェクトでDX化に挑戦する2つの事業者さんによる対談イベントを開催いたしましたので、その時の様子をお伝えさせていただきます!

 

Why DX??

そもそもどうしてDXが必要なのでしょうか・・?
人口減少が加速化する日本、その中でも地方に位置する大分県においては労働力、すなわち事業伝承の担い手となる若い人材の県外流出が深刻なんだそうです。人口が減り、経済規模が縮小する中でも、より良いサービスを提供し続け成長を止めないためには、経営効率を高めることが至上命題。そこでデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たななビジネスモデルを創出していくこと(=DX化)がとにかく重要だと言える訳です。
DX化と聞くと、とにかく何事も電子化させることを想起するのですが、DXを推進することで経営改革を巻き起こしていくことが本質的な目的だと言えます。

DX化推進の先輩たち

1月23日に”DX化に取り組みたい!”と考えている大分県内の事業者向けに、「DXで描く新時代へのナビゲート!大分発DX変革の共創会議」と題した対談イベントを開催しました。ここではDX化をいま正に推進している先輩企業から経験談を赤裸々に語っていただきました。

今回スピーカーとしてご登壇頂いたのは、株式会社ありたや 取締役の野口さんと、協栄工業株式会社 代表取締役の大賀さん。野口さんは、創業107年をむかえる住設商社の次期社長。大賀さんは管工事分野で県内シェア No.1 を誇る総合設備業の現代表です。

DX化の背景と取組み

まずははじめに、どうしてDX化に取り組むことになったのか?その背景と、具体的にどんなことを推進されているのかを聞いてみました。

ライバル企業の出現に焦り。社としての強みを十分に発揮させるために、年間300時間の作業時間を削減・・!

住設商社のありたやさんは、創業108年の老舗企業。特に地元に根付いたビジネスを強みにしてきましたが、首都圏の大手商社がローカルにも多く出店し始めたことが危機感の醸成と競争のきっかけとなったそうです。生存競争に勝って生き残っていくためには、強味である提案力や供給力、配送体制といった強みを生かしていく必要がある。そう考えDX化に踏み切ったそうです。
取り組んだのは作業効率化の鍵「RPA」。RPA、つまりロボティックプロセスオートメーションとは、PC上でのあらゆる作業を自動化する技術です。ブラウザで情報を調べたり、ログイン操作をしたりといった日々の繰り返し作業をプログラム設定一つで自動でこなしてくれる優れものなんだそうです。導入効果は絶大で、以前は7工程かかっていた業務が、なんと3〜4工程省略可能に。この変革によりなんと年間300時間も業務時間を削減できる見込みなんだそう・・!
しかし、予期せぬ障害もあり、一時的に作業を人の手に戻す必要が出てしまったそうです。しかし、決して諦めることなく、システム改善に向けての取り組みを再開されている姿勢に、未来への意欲が感じられました。

迫る2024年問題、残業上限規制に対応するための残業時間を大幅にカット!若手の成長意欲にも寄与。

給排水衛生設備や空気調和設備などの企画・設計・施工管理・保守を一気通貫で担う協栄工業さんは、来る2024年の残業上限規制を機に、これまでのアナログ業務を見直すプロジェクトをスタートさせました。
これまでは、工事現場の進捗をホワイトボードで更新したり、日報を紙で提出したりと、昔ながらの方法が取られていたそう。しかし、当プログラムを通じて、これらの業務を見事デジタル化することに成功!今では日報も、進捗もスマホ一つで管理でき、ホワイトボードに書いていた行動予定表もデジタルで一覧表示できるように。上司も現場もデータひとつで進捗を把握できるシステムに変わりました。ただ一方で、日報の作業などをただ単純化させると若手の成長機会をも同時に奪ってしまうことになるので、そうはならないような設計に配慮したとのことでした。
このように大賀さんは、DX化は社員の成長と業務効率化のバランスが大切だということを教えてくれました。

DX化の要とは

DXを推進する上で大事なことってなんだろう??お二人に聞いてみました。

DX化で最も重要なのは、どんなあり姿でありたいのか【ビジョン】を決め言語化すること

株式会社ありたやのビジョンは「お客様に最高の住空間を提供すること」だと教えてくれた野口さん。この背景にあったのは、建設業界の縦割り思考だったそうです。この考え方だと住宅設備に関する十分な知識を持って提案することが難しくなってしまう。そこでありたやさんでは、業界の通説に縛られず、本当に快適な住環境を提供できるようなレベルの底上げを目指していると話してくれました。
さらに野口さんはビジョンの大切さを改めて実感した経験をお話してくれました。「快適な住まいを提供する」という顧客満足を追求するビジョンを掲げ励んでいますが、RPA導入に失敗するなどのつまずきもあったそうです。しかしそれでも野口さんたちは目標意識を失わず、しっかりと失敗から学び、顧客満足への道を模索し続けたと言います。その過程で、失敗をただのミスと捉えずに次への取っ掛かりとすることの重要性を実感したそうです。つまり、困難に直面してもビジョンから逸れず、むしろそれに立ち返って事を進めることが本当に重要だと強調されていました。
うまくいかなかった時だからこそ、ビジョンをしっかりと心に留め、次の一歩を踏み出さなくてはいけないということを教えてくれました。

ビジョンを”ただのビジョン”で終わらせないコツ

ビジョンを持つことと同じくらい重要なのは、そのビジョンを口に出し、チーム全体で共有することだと大賀さんは強調されました。言葉に出すことで自分にも社員にもコミットメントを生み、やらざるを得ない状況をつくり出すんだそうです。DXは難しいと社内では感じられているようですが、自社で開発を進め、幾度も挫折を経験しながらも、言ったからには逃げずに責任を持って取り組む姿勢が、後年のデジタル化に向かい合う強さを育てたんだとか。ビジョン創造というのは、単に立てるだけでなく、それを自ら声に出し、共有していくプロセスそのものがとても大事だということが伝わってきます。

DX化がもたらしたのは生産性向上だけではなく、組織変革だった

はじめは生産性を上げるという期待だけでスタートしたDX化でしたが、進むうちに意外な展開があったと教えてくれたのは大賀さん。具体的には、生産性向上委員会を立ち上げて業務改善に取り組んだことから、社員が主体的に動き出す新たな気づきがあったそうです。最初は月に1、2件の提案でしたが、今では毎週のように社員が率先して業務フローの改善案を持ち寄るようになり、トップへの意見が積極的に出るようになったんだとか。これこそが、DXを進めてきて良かったと感じる瞬間であると感慨深げに語られていました。社員一人ひとりが、企業を良くしたいという共通の願い〈ビジョン〉を持ち、組織としても変化を遂げたという証拠だと思いました。社員の声に耳を傾け、大事だと思う提案はどんなに小さなものでもシステムに織り込んでいくことの重要性が読み取れます。この日々の努力とコミュニケーションが、変革する組織を作っていく上で不可欠な要素なんですね。

まとめ

今回の大賀さんと野口さんのお話から、「湧く沸くDXおおいた」プロジェクトにおける大分県内の事業者様の取り組みは、変化に対する前向きな姿勢と、それを支える地道な努力から生み出されていることがとてもよく伝わってきました。デジタル化の過程での挑戦や学びが、単なる作業の効率化を超え、組織内の創造性と主体性を促進する新たな文化を築いていく鍵となっているようです。この対話の場で共有された知見は何よりも、地域に根ざした事業者様が自らの環境に合わせてDXに取り組む際の参考になるものであり、私たちもその一端を担えたことを心からうれしく思います。今後とも、さまざまな場所でのDX化の取り組みが各々のビジョンに照らし合わせて進められ、それぞれの個性が光る地域経済の発展へと繋がっていくことが楽しみです。

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